剣道錬士六段で指導者の、とよクマ(@toyo_kuma)です。
「剣道着と袴は、たくさんあるけど何を選べばいいの?」
「子どもが剣道を始めるけど、自分に経験がないからよくわかない」
とよクマ
この記事では、剣道着と袴を安心して購入できる知識が身に付きます。
ダイジェストでお伝えすると、
- 剣道着と袴は体のサイズにピッタリあったものを選ぶ
- 初心者は綿100%がおススメ
- ジャージ素材も1着あると便利
- ジャージ道着の着用は試合や審査ではNG
- 小学生のうちはテトロン袴で試合にでもOK
- 袴の折り目には五倫五常の教えが込められている
とよクマ
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剣道着と袴の選び方
剣道は、とても激しく動く競技です。
とにかくよく動くので、サイズが合わない剣道着と袴はとても危険です。
とよクマ
まずは、剣道着と袴の選び方について学んでいきましょう。
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剣道着の選び方
剣道着も防具と同じく、体のサイズに合った道着を選びましょう。
サイズが合わない剣道着は動きにくいので、技術の習得にも支障が出てしまいます。
また最近では、剣道着の長さもルールに含まれるようになりました。
剣道着
剣道着の袖は、肘関節を保護する(構えた時に肘関節が隠れる)長さを確保したものとする。
竹刀及び剣道具等の安全性・公平性に関するパブリックコメントの募集 *終了 | 全剣連のお知らせ | 全日本剣道連盟 AJKF
肘関節より上に剣道着の袖があると腕を動かしやすいので、試合では有利になります。
剣道着はかなり厚手の素材で、体(肘)の保護の役目も担っています。
高校生ぐらいまでの試合では、自分の肘に相手の竹刀が当たることがあります。
とよクマ
このように危険もともなうので、必ず肘の関節を保護する長さの剣道着を購入しましょう。
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袴の選び方
袴は初心者のうちは、少し短めが使いやすいです。
初心者は踏み込みの技術が追い付かないので、袴を巻き込んで踏み込んでしまいます。
転ぶほどではありませんが、袴を巻き込むとカカトがとても痛いです。
とよクマ
あまりカッコは良くないのですが、最初の1枚はくるぶしより上ぐらいの長さが使いやすいでしょう。
本来は、くるぶしぐらいまでの長さが基本です。
ここまで長いのは、足さばきを読まれないためです。
とよクマ
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剣道着と袴の素材
剣道着と袴は、おもに2種類の素材から選べます。
- 綿100%
- 化学繊維(ポリエステル)
それぞれのメリットとデメリットをまとめました。
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綿100%
伝統的な綿100%の道着です。
綿は藍染で紺色に染めているので、使うごと洗うごとに色落ちします。
とよクマ
綿素材の剣道着や袴は、藍が落ちるので洗濯機は使わず、手洗いになります。
汚れているわけではないので、水につけて汗の成分を浮かせればOKです。
とよクマ
個人的には、剣道着だけでも綿100%がおススメです。
綿は汗をよく吸ってくれるので、防具を痛めません。
汗をかくと実感できるほど重くなりますが、道具を長く使う観点で考えると、綿素材は一番理にかなっています。
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綿袴の番号(7000番、8000番、10000番の意味)
綿100%の藍染め袴をさがしていると、
- #7000
- #8000
- #10000
とよクマ
藍染の反物は、
- 糸の種類で風合い
- 糸の打ち込み(密度)で重さ
が変わります。
とよクマ
この重さが、
- 20貫=#2000
- 40貫=#4000
となり、重いほうが価値があります。
とよクマ
- 番号が低い(#7000)軽い
- 番号が高い(#10000以上)重くてじょうぶ
同じように袴のグレードも、番号の高さに応じて値段も高くなります。
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ジャージ生地(ポリエステル)
服でいう速乾素材(化学繊維)を利用したものが、ジャージ道着です。
速乾とはすぐに乾くイメージがありますが、剣道は特に汗をかく競技です。
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そのため、汗は直接吸収されずに落ちていきます。
つまり道着や袴で汗を吸えないので、防具で吸うことになります。
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特に摩擦の激しい部分の痛みが激しいです。
- 胴ひもを結ぶ部分(上の方)
- 面ひも
- 小手の革
- 小手の関節部分(特に小指側)
- 垂のひも
とはいいつつも、とても手頃なお値段と洗濯機で洗える利便性もあります。
綿のように丁寧に折り目に気をつけ、たたむ必要もありません。
総合的に考えると利便性が勝るので、1着は持っておくのがおススメです。
とよクマ
もしジャージ生地の剣道着や袴を購入するのであれば、必ず道着だけでも綿のタイプをもう1着購入しておきましょう。
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剣道の袴の五本のヒダは五倫五常の教え
剣道着や袴の購入には直接関係はありませんが、袴の知識を身に付けておきましょう。
五倫五常の教えにふれることで、剣道の稽古の心構えにつながります。
剣道はスポーツではなく武道ですので、技術の他にも学ぶべきことがたくさんあります。
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五倫
五倫とは孟子によって提唱された、5つの道徳です。
孟子は、紀元前300年ごろの人物です。
今から2300年以上も昔になります。
父子の親
父と子の間は親愛の情で結ばれなくてはならない。君臣の義
君主と臣下は互いに慈しみの心で結ばれなくてはならない。夫婦の別
夫には夫の役割、妻には妻の役割があり、それぞれ異なる。長幼の序
年少者は年長者を敬い、したがわなければならない。朋友の信
五倫 – Wikipedia
友はたがいに信頼の情で結ばれなくてはならない。
人としての生きる道をカタチにした教えです。
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五常(五常の徳)
五常は孔子により提唱されたので、紀元前500年ごろ。
今から約2500年前から受け継がれる、歴史ある教えです。
- 仁:思いやりの心
- 義:利益や欲にとらわれず、なるべきことをする(正義)
- 礼:礼儀、人が守るべき行い
- 智:知識が豊富な事
- 信:偽りなく誠実であること
とよクマ
孔子が弟子に「仁を教えてほしい」の回答に、
「己れの欲せざるところ、これを人に施すなかれ」
誰でもが知る名言で答えています。
とよクマ
他人の心を思いやる気持ちが、仁です。
剣道でも相手を思いやる気持ちが大切です。
相手を思いやる気持ちが、相手の心理を読む洞察力にも繋がります。
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後ろの一本のヒダは誠の道の教え
袴の後ろ側は、中心から1本のヒダがあり、左右にわかれています。
1本のヒダは、人間として「二心のない誠の道」を表しています。
とよクマ
にしん [0] 【二心・弐心】
〔心を二つもつことから〕
① 敵対したり、謀反したりする心。ふたごころ。あだしごころ。 「 -を抱く」
二心(にしん)とは – 二心の読み方 Weblio辞書
② 疑いの心。疑心。
二心のない誠の道とは、剣道の先生や師匠、仲間たちだけでなく、日常生活でも人に対して誠実であるべき教えです。
そして誠実な心は、自分にも向けられます。
自分に対して二心なき誠の道が心の鍛錬に繋がり、自信となり、剣道の攻めの気迫に繋がるのかもしれません。
とよクマ
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小学生と中学生におススメの剣道着
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小学生と中学生におススメの剣道着を3種類、ご紹介します。
状況に合わせた剣道着をセレクトしましょう。
- 紺六三四刺剣道着(低学年入門用)
- ジャージ道着(小中学練習用)
- 綿100%紺一重剣道着(試合・審査用)
と、学年と状況によって使い分けがおススメです。
紺六三四刺(剣道着)
綿100%で着心地も良く、汗もしっかりと吸収してくれます。
入門してしばらくは、防具を付けずに基本練習をします。
汗を吸わないと手元や足に汗が流れ、竹刀を持つ手や足が滑りやすくなることもあります。
とよクマ
未就学児から低学年におススメの剣道着です。
中学年(3,4年生)以降で体が大きくなったら、色止めの紺一重がおススメです。
織刺調・紺ジャージ(剣道着)
高学年~中学生は、ジャージ剣道着がおススメです。
汗を吸いにくいデメリットはあるものの、扱いがとても簡単です。
- 洗濯機で洗える
- 軽い
- 乾きが早い
- やわらかい
ぼく自身も稽古用の主力剣道着です。
ただし、試合や審査などフォーマルな場ではNGです。
高学年以上で試合に出る場合は、かならず綿100%の剣道着(紺色)を用意しましょう。
とよクマ
色止め紺一重(剣道着)
フォーマルな場(試合や審査)でも使用できる、綿100%の剣道着です。
藍の色落ちがほとんどない色止めタイプなので、綿100%の藍染め道着の中でも扱いやすいです。
とよクマ
一番はじめに書いたように、フォーマルな場に出るようになったら、必ず1着は用意しましょう。
また、3年生以上で剣道をはじめるのであれば、紺六三四よりこちらがおススメです。
入門期は、汗をしっかりと吸う綿の剣道着が一番良いでしょう。
小学生と中学生におススメの剣道袴
道着と同じように、袴も年齢と状況に合わせてセレクトしましょう。
- 入門用テトロン袴(低学年初心者用)
- テトロン剣道袴・紺(高学年から中学生用)
- ジャージ袴(稽古用)
- 綿袴(高学年~大人までの試合審査用)
この4着のいずれかで、中学生までは十分に剣道生活がおくれます。
入門用テトロン剣道袴
昔からある最もポピュラーなタイプのテトロン袴です。
入門期におススメです。
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紺の道着に合わせるのであれば、紺か黒の袴が似合うと思います。
テトロン袴は色落ちもなく、洗濯機でそのまま洗えるので、とても扱いやすいです。
折り目も付いているので、キレイにたたまなくてもOKです。
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テトロン剣道袴・紺(内ヒダ縫製加工)
同じテトロンでも紺色で、綿の袴の風合いに近いタイプのテトロン袴です。
内ヒダ縫製加工がされているので、折り目を心配することなく使えます。
とよクマ
中学年(3,4年)から中学生で剣道をはじめる方におススメです。
クール&ドライ 夏用ジャージ剣道袴
同じく内ヒダ縫製加工されたジャージ素材の剣道袴です。
ジャージ素材ですが、吸汗性が良い素材を使用しているので、汗をすぐに吸ってくれます。
とよクマ
今までのジャージ素材の欠点である吸汗力を改善した袴なので、練習用にぜひ使いたい一品です。
注意として、上のテトロン袴は公式の試合でも小中学生ならOKですが、ジャージ袴はNGです。
ジャージ袴を買う場合は、必ずフォーマル用にもう1着購入しましょう。
正藍染7000番剣道袴(綿袴)
小学生から中学生の綿袴は、7000番で十分です。
ただ、サイズが150cm以上からなので、それまではテトロンを使用しましょう。
テトロンと違い見た目はとても良く、先生にみえます。
とよクマ
綿袴は、テトロンやジャージ素材と違い、大事にあつかいます。
内ヒダも縫い付けられていないので、毎回稽古後には折り目を気にしながら、丁寧にたたみます。
たたみ方もあるので、勉強が必要です。
とよクマ
このようにテトロンやジャージ素材に比べると扱いは大変ですが、着用した時の姿は、それだけで圧力を感じるほどです。
体が大きい小学生や中学生は、試合で使用するだけでもかなりイメージが変わり強そうに見えます。
体がサイズに達しているようであれば、ひとつ入手するのがおススメです。
剣道着と袴【おススメ7選】と選び方まとめ
袴と道着は色々な種類があり、剣道の経験がない親御さんだと、かなりわかりづらいかもしれません。
大事なのは防具と同じで、まずは体に合ったサイズを用意しましょう。
とよクマ
- 剣道着が長すぎて相手の竹刀がひっかかる
- 剣道着が長すぎて小手にかぶさってしまう
- 剣道着が短くて試合で使えない(ヒジを守っていない)
- 袴が長すぎて踏んで転んでしまう
- 短すぎて足元が見えすぎていてカッコ悪い
このように、体に合わない道着や袴を着用すると大変危険です。
子どもは体の成長も早くすぐに着れなくなりますが、それもまた我が子の成長を楽しむということで、体に合わせた剣道着や袴を用意してあげてください。
とよクマ
防具についての記事も書いていますので、ぜひあわせてご一読ください。

子供が剣道を習うメリット10選と基本情報 では、剣道を初めて習う方向けの内容を指導者の視点で書いています。
こちらもぜひご一読ください。
